動画配信サービスには、さまざまな形の収益モデルがあります。
2020年頃より、さまざまな動画配信サービスが誕生してきており、それら動画配信サービスの収益の上げ方は、サービスによってまちまちです。
動画配信サービスの一般的な収益モデルの在り方には、「有料プラン」があって「有料プラン」をサブスク購入した場合に、動画コンテンツを閲覧することができるようにする、といったものがあります。
つまり、ユーザーは有料のプランに加入することで、動画を視聴することができるようになる、といったことです。
このような「サブスクしないと動画が見れない」といった動画配信サービスの収益モデルを取り入れているサービスは多くありますが、そのなかの多くのサービスがとりわけ2023年以降、成長しずらくなっているのが実態です。
本記事では、なぜ「サブスクしないと動画が見れない」という収益モデルを採用したサービスが伸びなくなっているのか?ということと、その一方で、成長を続けているサービスがありますが、それら成長を続けているサービスが採用している新しい収益モデルについて解説します。
当方ジェピスタでは、これまで50以上の動画配信サービスの開発や、立ち上げに携わってきました。
無論、ジェピスタでは長年にわたって、この動画配信サービス業界を注視してきており、業界の分析をし続けております。
これから動画配信サービスを作る方にとって、有益な内容となっております。
短い記事です。是非、最後までご一読ください。
動画配信サービスの「最適な収益モデル」とは
2020年頃より、多くの動画配信サービスが誕生したことに伴い、流行った収益モデルとして「サブスクしないと動画が見れない」というモデルがあります。
ただ2023年以降、この「サブスクしないと動画が見れない」というモデルは古いモデルとなってしまいました。
そして、2023年以降における動画配信サービスの「最適な収益モデル」とは、「再生速度の変更」や「広告スキップ」、「早送り」といった機能を制限するが、動画自体は誰でも無料で見れる、というものです。
つまりユーザーは、お金を支払わなくても動画コンテンツ自体を見ることができる、といったものです。
ただし「再生速度の変更」や「広告スキップ」、「早送り」などの機能を使うことができず、これら機能を使いたい場合は有料プランに加入する必要がある、といった仕様です。
なぜ「無料会員であっても、動画を視聴できるようにする」のか?
近年、多くの動画配信サービスが存在し、そして新しいサービスも多く誕生しています。
大手の動画配信サービスには、たとえばU-NextやTVer、Prime Video、Netflixなどといった動画配信サービスがあり、YouTubeやTicktokといったソーシャルメディア系の動画配信プラットフォームもあります
さらに各界隈や各業界といったもっとマクロなレイヤーにおいても、多くの動画配信サービスが次々と誕生しています。
このように、多くの動画配信サービスが誕生している背景には、①コロナ禍において「オンライン」が普及したこと、そして ②動画配信サービスを作ることのハードルが下がった、という理由があります。
たとえばジェピスタでは、動画配信サービスを開発し、サブスク機能を実装し、さらにiOS・Androidアプリ化できるといった開発サービスを提供しております。
このような状況のなかで起こっていることに、多くの動画配信サービスが誕生していることで、ユーザーの取り合いが激化している、ということがあります。
つまり、YouTubeやTicktok、TVer、Netflix、U-Nextなどに加えて、新しく誕生する動画配信サービスらが、ユーザーの時間の取り合いをしているということです。
さらに、YouTubeやTicktokといった動画配信プラットフォームにおいては、クリエイターが「有料級の質の良いコンテンツ」を出し続けています。
無論、それらコンテンツをユーザーは無料で視聴することができます。
つまり、わざわざある動画配信サービスの有料プランにサブスクせずしても、YouTubeなどでも十分に有益な動画を見ることができるということです。
このような、ユーザーの時間の取り合いが激化している2023年において、「有料プランに加入して動画を見る」といったことこと自体が、ユーザーにとってハードルが高いことになりました。
これらの実情に気がつけた動画配信サービスは、「無料会員であっても、動画を視聴できるようにする」といった形にシフトし、そしてサービスを成長させています。
以降では、「無料会員であっても、動画を視聴できるようにする」モデルの在り方について解説し、なぜ「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」なら成長するのか?ということについてお話しします。
「無料会員でも動画を見れるようにする」モデルとは
「お金を支払っていない無料ユーザーであっても動画コンテンツを見ることができる」といった形としている動画配信サービスにおいては、「サブスクしないと動画が見れない形の動画配信サービス」とは違ったマネタイズの方法が必要となります。
そして、この「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」では、たとえ無料会員であっても、動画を視聴することができるようにするが、「再生速度の変更」や「広告スキップ」、「早送り」といった機能に制限をかける、といった形としています。
つまり、プランを購入していない無料ユーザーであっても、動画コンテンツを楽しむことができるようにしていると同時に、一部の機能をあえて利用できないようにして、無料ユーザーには一定の「不便さ」を与えている、ということです。
「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」こそ、成長する理由とは
お金を支払っていないユーザーであっても、なぜ動画を無料で視聴できるようにするのか?
これの回答は、2023年以降の動画配信サービス業界の状況のなかで、この「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」に大きなメリットがあるためです。
次では、3つのメリットについて解説します。
無料会員に「不便さ」を解消するソリューションを提供できる|メリット①
「2倍速で動画を見る」ということが日常になっているユーザーにとって、無料ユーザーのままでいることは、「再生速度の変更」ができないことから、ストレスを感じます。
つまりそのユーザーにとって不便である、ということです。
そして「再生速度を自由に変更したい」と思う場合、そのユーザーは「有料プラン」に加入することで、その「不便さ」を解消することができます。
つまりそのユーザーは、これでハッピーになれる、ということです。
他方、「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」において、場合によっては動画のなかで「広告動画」を入れることができます。
その動画配信サービスにスポンサーが付けば、その「スポンサー動画」を入れることができますし、スポンサーがいない場合には「自社の商品を紹介する動画」を入れることもできます。
そして、動画に「広告動画」を入れることで、無料ユーザーは「動画は見れるが、動画のなかでたまに広告動画が流れる」といったユーザー体験にすることができます。
動画を視聴している途中で「広告動画」が流れることにストレスを感じる無料会員の場合、有料プランに加入すれば、「広告スキップ」や「早送り」といった機能が使えるようになるため、その「不便さ」を解消することができます。
「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」においては、あえて無料会員に「不便さ」を感じてもうら構造にすることで、有料プランの優位性を創造している、ということです。
そしてその「不便さ」を解消するための解決策を、サービス側が有料で提供している、ということです。
広告費を大きく減らせる|メリット②
「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」のメリットとして「広告費を大幅に減らせる」ということもあります。
そしてこの「広告費を大幅に減らせる」というメリットは「中長期的」なこととなるため、サービスを長く続けるほどそのメリットは大きなものとなっていきます。
「サブスクしないと動画が見れないモデル」では、広告運用しないとユーザーの獲得は困難です。
つまり、「サブスクしないと動画が見れないモデル」では、Google広告やYouTube広告などの広告を利用しないと、そもそもユーザーがサービスに来てくれないということです。
「サービス立ち上げの当初のみ広告運用すればいい」といった甘い考えを持ったならば、それはとても危険です。
なぜなら、ユーザーは広告運用している期間にのみサービスに来てくれる、というのが当たり前であるからです。
つまり、広告運用をやめればユーザーはサービスの存在自体を知り得ません。
また、広告運用したからといって「ユーザーがサブスク加入してくれる」ということも限りません。
貴方がインフルエンサーの場合、「YouTubeやTwitterなどで●●万人フォロワーがいるから、そこでお知らせすればサブスクに入ってもらえるよね」といった浅はかな考えも、とても危険です。
これまでジェピスタでは、50以上の動画配信サービスの立ち上げに関わってきました。
ジェピスタのお客様のなかには、「YouTube登録者数何十万人」といった方々がいますが、そういった多くのフォロワー数を有する方をもってしても、「有料会員の獲得」というのはとても難しいものです。
したがって、「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」にして、まずは無料ユーザーを獲得してしまった方が圧倒的に安くなる、ということです。
新しくサービスを立ち上げる場合、「いかにしてそのサービスを知ってもらうか」ということに大きなコストがかかるのは、動画配信サービスに限ったことではありませんね。
ユーザーの滞在時間を獲得できる|メリット③
イメージしていただきたことに、
貴方が「ある動画配信サービス」に行ったとして、「動画を視聴しよう」とします。
そして「動画ページ」に行くと、「この動画を視聴するには、プランに加入ください」といった表示がされました。
この場合、貴方はほぼ間違いなく、このページから離脱することでしょう。
つまり、「動画の視聴を諦める」ということです。
他方、貴方が「ある別の動画配信サービス」に行ったとして、「動画を視聴しよう」とします。
「動画ページ」に行き、そしてスムーズに動画を視聴することができました。
この場合、貴方は動画を見れたことで満足し、「他にどんな動画があるのかな?」といったように、「他のコンテンツ」ひいては「このサービス自体」に興味を持ちます。
そして次の日も暇な時間に、このサイトに戻ってきて動画を探し、動画を視聴することでしょうう。
上記の2つの例のとおり、後者の「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」の方が、圧倒的に「ユーザー」と「ユーザーの滞在時間」の獲得に成功しています。
最後に
先述したとおり、とりわけ2023年以降において、多くの動画配信サービス並びに動画配信プラットフォームが「ユーザー時間の取り合い」を激化させています。
そして、著しい成長を続けている動画配信サービスでは、本記事で解説した「無料会員でも動画を見れるようにするモデル」を採用しています。
新しい動画配信サービスが誕生してますが、本記事で解説したことに知らずして、成長するサービスを構築することができないサービスが多く発生しています。
貴方が動画配信サービスを新たにスタートさせる場合、その動画配信サービスが成功することを祈っております。